「ABSはラッカー塗装すると割れる」
ガンプラ塗装を始めると、一度は聞く話ですよね。
説明書にも「ABSへの塗装は破損の恐れがあります」と書かれていることが多く、初心者ほど不安になるポイントだと思います。
実際、
- 関節が突然砕けた
- スミ入れしたらヒビが入った
- ガンダムマーカーで割れた
という経験談もかなり多いです。
ただ一方で、
「普通にラッカー塗装してるけど問題ない」
という人もいます。
では実際、ABSは本当に危険なのか?
結論から言うと、
「塗料そのもの」よりも、
“応力が掛かった状態で溶剤が浸透すること”
これがABS割れ最大の原因です。
この記事では、実際の実験結果をもとに、
- なぜABSは割れるのか
- どの溶剤が危険なのか
- ラッカー塗装は本当にダメなのか
- 安全に塗装する方法
を初心者向けにわかりやすく解説していきます。
ABS塗装が怖い方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
ABS樹脂とは?ガンプラで使われる理由
ABSとは、
- アクリロニトリル
- ブタジエン
- スチレン
を混ぜた樹脂です。
特徴は、
- 硬い
- 強い
- 粘りがある
- 割れにくい
そのためガンプラでは、
- 関節
- フレーム
- 可動部分
によく使われています。
特にPGや2000年代のHGなどキットでは定番素材ですね。
ここが重要です。
ABSは単純に、
「ラッカーを吹いたら即割れる」
わけではありません。
実際には、
- 関節
- スナップフィット
- ボールジョイント
など、“力が掛かった部分”が危険です。
ここへ溶剤が浸透すると、樹脂の強度が下がり、耐えられなくなって割れます。
これがABS割れの正体です。
ABSが割れる本当の原因
ABS割れで一番重要なのがこの組み合わせ。
応力(内部ストレス)+溶剤
です。
例えば関節。
関節は、軸が内側から押し広げることで保持力を作っています。
つまり常に力が掛かっている状態。
そこへラッカー溶剤が浸透すると、
- 樹脂が弱る
- 強度が低下
- 応力に耐えられなくなる
- 割れる
という流れになります。
この現象は、
「ケミカルストレスクラック」
と呼ばれています。
簡単に言うと、
「力が掛かった樹脂に溶剤が入り込み、破壊される現象」
です。
ABSだけでなく、プラスチック全般で起きる現象ですね。
実験!どの溶剤でABSは割れる?
実際にHGUCズゴックの関節に使われているABSへ強い力を掛けた状態で、各種溶剤を塗布して検証してみました。



結果はこちら。

| 溶剤 | 結果 |
|---|---|
| ラッカー薄め液(GSIクレオス) | |
| プロユースシンナー(ガイアノーツ) | |
| ガンダムマーカー消しペン(GSIクレオス) | |
| ガンダムマーカー流し込みスミ入れペン(GSIクレオス) | |
| エナメル溶剤(タミヤ) | |
| 水性ホビーカラー(GSIクレオス) | |
| ウェザリングカラー(GSIクレオス) |
やはりラッカー系は強力でした。
特に、
- 組付て溶剤を大量に付ける
- 隙間へ流れ込む
この条件だと、一気に破断
静かにボロっと砕ける感じです。
かなり怖いです。
ガンダムマーカーは初心者でも使いやすく、部分塗装やスミ入れに便利です。
しかし、ガンダムマーカーにはアルコール系や溶剤成分が含まれているため、
ABSに応力がかかった状態で塗るとラッカー同様割れてしまいます。
ガンダムマーカー=初心者向けで安全!ではないので注意しましょう。
意外だったのがエナメル。
単純な塗布だけなら、かなり耐えました。
ただし、ABSとは別の素材、PS樹脂の応力がかかった場所での使用は割れるため理解が大事です。
| ABS樹脂(組付け状態) | PS樹脂(組付け状態) | |
| エナメル塗料 | ||
| ラッカー塗料 |
ABSをラッカーで安全に塗る方法

これが一番大事。
ABS塗装で最も安全なのは、
- バラして塗る
- 乾燥させる
- 最後に組む
です。
これだけでもかなりリスクを減らせます。
「色味を揃えたい」時ですね。
ダボを少し削ったりカットして
- 軽くはまる
- 応力が少ない
状態にして塗装。
これもかなり有効です。
エアブラシは、
- 霧が細かい
- 一度に乗る溶剤量が少ない
- 乾燥が早い
ので、かなり安全寄りです。
逆に危険なのは、
- 筆塗り
- スプレー缶
ですね。
厚吹きしやすいので危険度が高いです。
ABS塗装では、
「一気にツヤツヤにしよう」
が危険です。
まずは薄く。
1回目は砂吹き気味。
2回目以降でしっかり塗膜を作る。
これが安全です。
ABS塗装でやってはいけないこと
これは本当に危険。
特にガンダムマーカーすみ入れは、
- ABS関節
- 軸周辺
- ハメ込み部分
へ流し込むと、一気に破損することがあります。
スプレーは溶剤量が多いです。
「シューッと長時間吹く」
これは避けましょう。
ABSを塗装するときの実践テクニック

応力を減らす方法です。
- ピン穴を少し広げる(ニッパーでカット)
- キツさを減らす
これだけでもかなり変わります。
ABS接着では、
「瞬間接着剤」での合わせ目消し
がかなり有効。
溶着系接着剤では接着できません。
なので、
- ダボを緩くする
- 瞬着で固定
- ヤスリで整える
この流れが安全寄りです。
サーフェイサーは塗装可能?
ここはかなり意見が分かれます。
ただ、
「サフだから安全」
とは言い切れません。
サフもラッカー系だからです。
実際には、これまでの解説同様、
- 応力を減らす
- 厚吹きしない
- 流し込まない
こういった段取りの方が重要です。
ABS塗装は怖がりすぎなくてOK
確かにABSは怖いです。
でも、
- 分解して塗る
- エアブラシで薄く塗る
- 乾燥させる
この基本を守れば、かなり安全に塗装できます。
初心者はまず、
「組付けた状態で塗装をしない」
これだけでもかなり事故を減らせます。
まとめ
ABS割れの原因は、
- 応力
- 溶剤
この組み合わせです。
特に危険なのは、
- 組んだ状態
- 関節
- 流し込み
- 厚吹き
ですね。
逆に、
- 分解塗装
- エアブラシ
- 薄吹き
- 乾燥後組み立て
ならかなり安全寄りです。
ABSだから絶対塗れない、というわけではありません。
怖がりすぎず、正しい段取りで塗装していきましょう。
週末ガンプラ工房 